質問
博物館の活性化を図るため、平成14年9月、博物館を考える市民会議が立ち上げられ、1年間熱心に議論された結果を本年8月に提言としてまとめられました。博物館がオープンして11年、これを契機に博物館の果たす役割、位置づけを見直す時期ではないかと考え、質問いたします。
平成4年11月、考古、歴史、民俗、美術工芸などに関する資料を収集し、保管し、及び展示して市民の利用に供し、その教育、学術及び文化の発展に寄与することを目的として博物館がオープンしました。
その後、当初の目的に阪口市長が風土記の丘構想を追加され、平成12年から13年にかけて市民参画のもと、吹田風土記の丘・紫金山公園基本計画として報告書がまとめられました。
公園計画の基本方針では、自然環境と歴史環境が融合した21世紀の鎮守の森を市民参画でつくり上げ、市全体に影響を与えていくことを目指すとあり、博物館に関しては周辺を博物館ゾーンとして、公園と一体となって歴史、自然の両面から活動できる場にすると方向づけられています。
時代とともに博物館の果たす役割は変化しています。今、全国的に公立博物館の存在意義を見直す動きがあります。
吹田の博物館は、国立博物館のように全国から来館者が訪れ、日本や地球規模で展示を行う博物館ではありません。吹田周辺に住んでいる人や仕事をしている人が利用し、地域のことを扱う、つまり地域と市民を結ぶ地域博物館と言えます。
地域博物館に求められることは、より多くの時間を地域住民との交流、対話に充て、人脈のネットワーク化を図るとともに、生涯学習の資源として地域のすぐれた資源、能力を発見、発掘する地域学を深めていくところでもあります。地域学を学び、活用する市民がふえれば、地域社会をともに構成し、形成していく社会性への目覚めにも大きな役割を果たします。長い目で見れば、地域コミュニティの活性化にも結びつくものと考えます。
この地域博物館という観点に立てば、紫金山公園一帯は単なる自然と歴史の融合した憩いの場ではなく、博物館の文化財や学芸員の専門知識を生かし、市民が主体的に活動する地域の拠点となり得ると考えますが、どのようなお考えをお持ちでしょうか、お聞かせください。
博物館の来館者数は、有料、無料の人を合わせ、多い年で約1万6,000人、少ない年で9,000人余りです。過去に議会でも何度か来館者の伸び悩みについて指摘されています。しかし、市民会議の提言でも来館者数の増加だけが活性化のバロメーターではないと述べられているように、私たち吹田いきいき市民ネットワークとしても、この点だけで博物館に問題ありと見ることは避けたいと考えます。
しかし、博物館に毎年2億7,000万円余りの費用がかかっていることを考えると、客観的に評価できる指標が必要です。
近年、公立の博物館、美術館などに欧米型の戦略計画方式という評価を導入する例がふえているとお聞きします。その評価制度とは、まず何を目指し、だれのための博物館なのか、館独自の使命を示す。そして、使命に基づいた具体的な目標を掲げ、その達成度で評価するという方法です。
例えば、静岡県立美術館での具体的目標とは、来館後1年以内のリピート率や展示からインパクトを受けた観覧者の割合などです。
吹田市立博物館としては、市民が年に何回も足を運んで展示を見直せる、疑問ができたときには問い合わせに行ける、行事に参加するなど、日常的なつながりを持てるかなど、今後いかに市民参加の取り組みができるかという点を評価に取り入れる必要があるでしょう。
そこでお聞きいたします。このような評価制度について担当課はどのようにお考えでしょうか、お聞かせください。
また、今後、市民との協働を行っていく上で、学芸員の仕事は大変重要です。市民が興味や関心を持って活動できるテーマを提示し、市民の力をコーディネートしながら資料や情報の蓄積に方向性を与え、使いやすい形に整えるという役割が期待されます。
次に、協働という点から市も継続的に市民と活動に当たる体制ができているのか疑問です。
提言には、公園の管理者としての緑化公園室と博物館を所管する教育委員会の連携がとれていないと指摘されています。私自身も紫金山の里山保全には参加していますが、博物館を訪れるまでは、そこが歴史上の史跡という認識がなかったというのが現状です。
今後、市民参画により自然環境と歴史環境が融合した21世紀の鎮守の森をつくり上げていくならば、関連部署の協力は欠かせないと考えます。教育委員会及び緑化公園室でこれまで協働して公園計画にかかわった経緯はありますか。
今後、公園計画に関して、協働で行う体制はできていますか。提言では、公園と史跡の有効利用を図るためにも、歴史関係団体と自然保護関係団体双方の関係者を一体化した組織の立ち上げが必要と書かれています。この提言を今後に生かすためにも、市民、そして両方の部から担当者が入った組織の立ち上げが必要と考えますが、いかがでしょうか。
また、現在、博物館とかかわっている市民活動グループはどのくらいありますか。どのような活動をしていますか。また、連携して調査などを行った事例はあるのでしょうか、お聞かせください。
地域に開かれた博物館という点では、会議室の利用など場の提供も重要と考えます。現在、地域や市民が会議室を利用することは可能でしょうか。可能ならば、これまでの利用状況をお聞かせください。
改めて市長がお考えの自然、歴史、文化のまちづくりについてお伺いいたします。
これまで吹田の文化政策は、平成4年に市制50周年記念事業の一環として歴史博物館が建てられ、阪口市長となり、平成12年には風土記の丘構想による紫金山公園を中心とした自然、歴史、文化の市民参加によるまちづくりを提唱されました。
しかし、今年度のマニフェストでは、風土記の丘構想について触れられておらず、変わって歴史文化のまちづくり基本構想、片山公園の城山公園化が挙げられ、昨年は吹田歴史文化まちづくりセンターが立ち上がりました。
風土記の丘構想に関しては、公園などハードの部分は順次整備を進めていますが、市民との協働という面では、まだ十分広がっているとは思えません。市長は、博物館の連携など今の状況をどのように感じておられますか。満足な状況だとお考えでしょうか、お聞かせください。
市民が吹田の自然や歴史、文化に触れ、愛着を持って住み続けることができる魅力あるまちづくりを行うことは、よいことだと考えます。しかし、担当部がさまざまであり、その活動が重なり合っていては、市民から見たときに、市の自然、歴史、文化に対する政策が非常にわかりにくい。
今後、博物館は教育委員会、紫金山公園は緑化公園室、歴史と文化のまちづくりは市民文化部というように、それぞれが担当の範囲だけを考え、仕事をするということだけは避けていただきたい。活動の核となるのは、実態を持った市民であり、いかに協働していけるか、具体的に進めていくことが必要です。計画を書くだけでは絵にかいたもちです。これらの施策をどのように体系化し、具体的に進めていくとお考えですか。担当部のお考えをお聞かせください。
最後に、常に市民との協働の実行を提唱されている市長は、これらの文化行政についてどのように推進しようとお考えでしょうか、お聞かせください。
答弁:社会教育部長
社会教育部にいただきました博物館につきましての御質問にお答えいたします。
吹田市立博物館は、市制50周年記念事業として建設されました施設でございまして、国の史跡の所在する紫金山公園の地を選んで建設されました。
当博物館の機能は、地域の歴史資料を収集し、調査研究して、その成果を市民に公開展示する地域歴史博物館であり、加えて埋蔵文化財を初め地域の文化財を保護する地域文化財保護センターの機能をあわせ持っているものでございます。
また、博物館は歴史情報の発信地としての機能を持ち、地域博物館として歴史資料の蓄積だけでなく、情報の発信施設と考えており、展示を基礎としつつ出前講座への取り組みや「博物館トーク」、「吹田再見ウォーク」などの事業に取り組むなど、市民参加をしていただき、市民に開かれた博物館を目指した活動をしているところでございます。
次に、博物館の事業評価についての考え方でございますが、本市では評価の具体的な目標や評価項目の決定には至っておりませんが、今後他の自治体の評価制度などを調査しつつ、市民対象に事業、展示などのアンケートなどに取り組みますとともに、評価制度の取り組みにつきましても、関係部局と協議してまいりたいと存じます。
次に、公園計画の策定に当たり、教育委員会と緑化公園室との協働につきましてでございますが、さきの吹田風土記の丘・紫金山公園基本計画書の策定に当たりましては、文化財保護係の職員を出席させ必要な文化財情報や資料を提供してきたところです。
現在におきましても、実務担当者レベルでの打ち合わせなどは必要の都度行ってきておりますが、今後事業の推進に当たり、市民会議からも提言をいただいております関係団体なども含めた連携につきまして、関係部局とも協議してまいりたいと存じます。
次に、博物館とかかわっている団体についてでございますが、現在吹田郷土史研究会がございます。同会は、博物館建設に係る準備段階に地域の歴史、民俗資料調査を実施していただき、平成12年度(2000年度)から地域の文化財の調査を引き続いて実施していただき、その成果につきましては刊行物として出版してまいりました。
また、博物館と共催で「吹田再見ウォーク」を開催し、今年も11月に垂水地区を対象に実施を予定しております。
次に、博物館会議室の市民の利用についてでございますが、博物館の設置目的や事業に沿った会議につきましては、これまでから館の事業に差し支えない範囲で、講座室を歴史関係団体の講演や発表の場として、また、公園の自然保護団体のシンポジウムやワークショップの場として御利用いただいているところでございますので、よろしく御理解賜りますようお願い申し上げます。
答弁:建設緑化部長
風土記の丘構想に関しまして、市民との協働の状況について市長に答弁をとのことでございますが、まず担当部からお答え申し上げます。
紫金山公園では、平成10年(1998年)からNPO団体や「紫金山みどりの会」の方々がコバノミツバツツジの復元のため、行政と協働して管理活動を行っていただいておりました。このような下地がありました中で、平成12年度(2000年度)には行政と公募市民、そして地域や市民団体の代表者から構成される「吹田風土記の丘基本計画策定市民委員会」を立ち上げ、紫金山公園の基本計画を策定いたしました。
この市民委員会には、「紫金山みどりの会」やNPO団体、また、郷土史研究家の方々も参画していただくとともに、博物館とも連携して計画案の策定に取り組みました。
また、今年度からは「手づくりの遊歩道」の整備にも計画策定に参画された市民やNPOの方々も参加していただいております。
今後、基本計画に基づき、公園整備を進めてまいりますが、この公園の拠点施設となるビジターセンターの施設規模や運営のあり方につきましては、関係部局との連携、調整、さらに市民の方々やNPO団体と協働して計画等をつくり上げていく必要があると考えております。
答弁:市民文化部長
風土記の丘・紫金山公園基本計画と博物館に関連し、歴史文化のまちづくりについて、市民文化部からお答えいたします。
歴史文化のまちづくりにつきましては、平成14年度(2002年度)より、歴史文化のまちづくり基本構想を「みんなで創る!歴史と文化のまちづくり、基本的な考え方と地域での進め方」として取りまとめを進めており、現在広く市民の御意見を伺っているところでございます。
この中で、歴史と文化のまちづくりに関する基本的な考え方については、歴史、文化資源の保全、活用や文化活動、交流活動を生かすことにより、市民が愛着と誇りを持って、生き生きと暮らせ、訪れる人にも魅力ある地域を市民、事業者、大学など、行政の協働により育てていくこととして、各主体の役割や進め方などを示しているところでございます。
また、地域での進め方では市内を6ブロックに分け、地域の特性を生かした歴史と文化のまちづくりの方向を具体化し、各地域での発意と取り組みが醸成されることをねらいとして取りまとめております。
歴史と文化のまちづくりを進めるに当たりましては、各地域の市民の皆様方の自発的な取り組みが不可欠でございますので、協働の仕組み、ルールづくりを整備し、歴史文化の息づくまちづくりにつなげてまいりたいと考えております。
歴史と文化のまちづくり施策は、いわゆる総合施策であり、施策の実施に当たっては、各部局と連携を保ちながら関係部局で取り組んでいただくものであると考えているところでございます。
答弁:市長
紫金山公園整備に関して、市民との協働及び博物館との連携についてでございますが、担当部長が御答弁申し上げましたように、風土記の丘基本計画は、市民参加のもと関係部局が連携して策定したものでございます。
今後、基本計画に基づきまして整備いたします公園施設やその運営等につきましても、市民と協働しながら博物館を初めそれぞれの所管が十分連携していく必要があると考えております。
次に、文化行政の推進についてでございますが、私は、地域に根差した歴史的、文化的資源を大切に保存活用しつつ、また、新しい創造的な市民文化活動を振興し、それらの文化が共存する中で、市民の皆様が地域への愛着と誇りを持てるような地域個性の光るまちづくり、地域文化、市民文化の息づく自律のまちづくりを目指しているところでございます。
文化施策の推進に当たりましては、市民の皆様によります歴史的、文化的資源の保存活用や芸術文化活動、市民交流活動等に対する自発的な参加や取り組みの機運を醸成してまいりますことが、行政の重要な役割であると考えておりまして、そのためには、ハード・ソフト両面における市民の皆様方の活動条件を整備する必要がございます。
そうした取り組みを進めることにより、市民文化の振興と新しい都市文化の形成が図られるよう取り組んでまいりたいと考えております。

